自閉症の原因は父親の遺伝では無い!遺伝子の情報伝達ミスが原因!
ここでは、「自閉症の原因は父親の遺伝なのか」についてお話します。
「目元はお父さん似ね」「手先の器用なのはお母さん譲りなのね」
「それは遺伝だからよね」など、人の顔立ちや性格、
特徴などは、日常的によく話題になることですよね?
「遺伝」はどういうもの?
まず「遺伝」とは、形質が親から子へ伝達されることです。
ここでいう「形質」とは、生き物が独自に持つ形や性質のことです。
顔や体型などを形成する設計図の役割が「遺伝子」で、
この遺伝子の集合体を「染色体」といいます。
この染色体を私達は、父親、母親からそれぞれ1つずつ引き継ぎます。
さらに遺伝子というのは、祖父、祖母、
もっと前の先祖から引き継いでいるものもあります。
ただ、遺伝子は遺伝情報の最重要担体の一つではありますが、
遺伝子ではない遺伝情報の担体(ブリオン、ウイロイドなど)も
存在するので遺伝のメカニズムは複雑です。
また、人間は遺伝だけで作られるものではなく、
環境や生活習慣も大きく関係しています。
そのため、親から引き継いだ遺伝子だけでは決まらないものも、数多くあります。
自閉症は遺伝するの?
「自閉症 原因 父親」でお話したように、
脳の器質的な特性による自閉症は、先天的なもので
「遺伝子情報伝達ミス」が原因で起こるものです。
また、自閉症は単一遺伝子の異常ではなく、
数多くの遺伝子の異常で起こることもわかっています。
そのために、自閉症の人の症状は人それぞれで、均一ではありません。
単純に「父親が自閉症だから、その子供は自閉症になる」とは言えません。
今から十数年前の2003年にヒトゲノムの解析
(人のDNAの塩基配列の解読)の終了が宣言されました。
やっと、人の遺伝子2万数千個の塩基配列がわかったばかりです。
その後も日々世界各国で研究が進められています。
最近発表されたノースカロライナ大学医学部の研究の
「哺乳類の遺伝は、母親よりも父親の遺伝子の方が優勢的に遺伝する」
という発表は、実験用マウスでのものですが、
人間にも十分可能性のあるもので、今後のさらなる研究が待たれるところです。
このように、「自閉症の原因が父親の遺伝によるもの」だとは
決して言えないのです。